スタッフインタビュー



―人気シリーズを一新した、本作をつくりにあたってどこを意識されましたか?

高宮 今までとの違いをどう出すかという部分ですね。第四次SRWでは作品のクオリティとしてはひとつのピークを迎えたと思いました。私個人としては第三次SRWがすきなんです。ゲームとして完成度が高いんじゃないかと、純粋にゲームとしてね。

―そうですね。武器強化がないせいかバランスが絶妙なんですよね。

高宮 でも、確かにピークを迎えたとはいえ、やり残したところは色々とありました。だから第四次で終わらせるのはちょっともったいないなと。第四次が終わった時、それをPSに移植することと、オリジナルシリーズ「魔装機神」の開発、そして新しいSRWの開発が決まってたんです。そこで、今回は熱烈なファン以外の方にもアピールできるよう、意図的にマニアックな部分は落とし、ロボット大戦の入門的な作品にしようと考えました。

―シナリオに初挑戦ということで。高宮さん自身はやってみていかがでしたか?

高宮 考えていたよりも大変でしたね。ですが、今回はこれまでのシリーズに比べてシナリオ以外の部分でも勝負できるようにシュミレーションゲームとしての側面を強化していくことにしたんです。いろんな反応や不満がくるとは思いましたが、それを見越したうえで、こちらのカラーを出していこうという形で作ったのが「新SRW」です。

寺田 そういう意味では絵的、見た目の限界はどこなのかっていうのを試してみる機会でもあったんです。

―グラフィックスはどこらへんを苦労されました?

松本 そうですねえ。とにかく第四次というものがありまして、かなり高い評価を受けてますよね。SDながらも、かなり描き込んであったので、まずそのクオリティに負けないようにってのが一番苦労した部分ですね。

―ハードも違いますからね。


松本 で、画面の濃度とかで色の出方とか、そういう部分をリテイクしました。やはりアニメの部分とロボットの質感を表現していかないといけない部分。その辺をひとつひとつやっていきました。

寺田 最初に絵コンテをもうらうんですよ。そこには今までのSD版のロボット大戦のユニットと同じポーズがリアルになっただけという感じのものだったんです。真ゲッター3が上にこう上げてるシーンとか、これ真正面むいて、これどうやって使うんだ? みたいなのがたくさん出てきて。

―大雪山二段返しですね

寺田 私もそれ見てて、ああこうゆうことやるんだなあって思ってて、声と絵が一緒になったやつをみて、会社で死ぬほど笑いました(笑。

―レイズナー強化型はV-MAXの時立ちポーズで飛んでいきますよね。

松本 はい。ポーズ自体もあの倍はあります。回避のやつとか、レイズナー自身には固定的な部分はなかったんですけど。アニメ上では動きが特異でしたので、それを表現するにはやはりポーズで見せた方がいいということでしたので、できる限りやったんですけど・・・。


高宮 グラフィックスにしても描いたけども使われてないっていうのが、結構あるんですよ。主な原因としては、プログラムが処理する時間がなかったりとか、データをうつ時間がなかったりとか、容量ですとか、描いたけど修正が間に合わなかったりとか。そういう意味では、そうとうな消失データがあるんじゃないかな。

松本 半年分はほとんどボツで。そこからまた、新たにみんながやり直しました。

―声の容量はどのくらいになってるんですか?

松本 容量自体はちょっとくわしいことは分からないですけども。内蔵で鳴らしてるんじゃなくて、常に読み込んで鳴らしてるので。

―あの品質の声があれだけCD−ROMに入ってるのはかなり脅威ですね。

高宮 音の品質を落としてやることはできるんですが、そうすると若干聞き苦しいところが出てきちゃうのでね。

寺田 今回長いセリフが多いですからね。第四次Sですと長くても「このダイターンをなめてもらってはこまる」とか、そこらへんだったんですが、今回セリフの長かったのは計算すると20秒ぐらいのものもありますからね。


松本 Gガンダムが入っちゃうとどうしてもね(笑

―グラフィックも番組の年代の差ってあるじゃないですか。マジンガーからGガンダムまで。描き方が違うのを統一しているのがすごいなあって思うんです。

松本 そうですね。っていうか個々に担当している部分をお互いによく見せないんですね。やっぱり自分で担当したところは。

―番組によって担当が違うんですか?

松本 そういうわけではないんですが。どこかでいいのが出てくると必ずそれには負けたくないっていう。

―なるほど、内部競争が。

松本 ありますね。

高宮 同じラインだけではなくて、今までの旧シリーズ、旧作があるじゃないですか。ですからそれを描いた人間が横にいるわけですよ。そういうのを意識するわけですね、お互いに。

松本 まず仲間に負けられない。特にユーザーさんから質が落ちたとは絶対思われたくないですからね。

高宮 特にキャラの顔っていうのは今までのシリーズもそうなんですけど、原作の絵を元にしてオリジナリティを出していくようにしています。人によって思い入れも違いますので、最も平均的なイメージをなぞるように描いています、もちろんグラフィッカーの思い入れも入ってくるのですが。

―見た人のイメージが投影されてる・・・。

高宮 そうです。これまでのシリーズのグラフィック監修を務めてきた阪田は、やはりキャラクターの表情なんかにしても細かくチェックするんですよ。こういう目線で、こういう形でやってくれっていうようにね。

―傷があってアオるとか。

高宮 そうです。そうすると本来は似てないんですけど、「ああこれだな」って誰しもが納得しちゃうものがあったりとかするんです。そういうものをすり合わせしていくと、どんどん元のものとは変わっていっちゃうっていうのはありますね。

寺田 いつ絵が替わるか分からないんでこっちも気が抜けない。今まで、たとえばシャイニングフィンガーとかも最初は単純なアニメだったんで、どうするかなぁって思ってたら、いきなりドモンの絵が入って(笑。そういう時はただの1ユーザーになって楽しんでますね。

―もう楽しんで。

寺田 そうですね。すごいっていうんじゃなくて、もう笑えるところまですごいんですからね(笑。ここまでやるかみたいな。大雪山二段返しとか。

松本 できる限りイメージ通りに見せて。ただリアルになった時点で顔が小さくなっちゃうんで、SDと違って、何がなんだかわからなくなっちゃう。

―特にガンダムの顔が。

松本 ガンダムが(笑。だからそこでの作業がバランス感覚なんですよね。

寺田 ただ全部が全部あれにすると緩急がつかなくなっちゃうんで、今までと変わらない戦闘パターンのものもあえていれています。本気でやろうと思ったら格闘ゲームのパターン数を全機に入れて・・・なんてことになって、きりがないですからね。

高宮 例えば「魔装機神2」が出るとするならば、おそらく前回のものとはガラっと変わってくると思うんですよ。担当している阪田を含め、多くのスタッフが常にいろいろなものを模索していますからね。だから何が出てくるか分からない。三次からEXが出た時に私自身「あっ!」って思いましたからね。なんでこんなに変えちゃうんだって(笑。

―ウインキーソフトが作るソフトは常に進化していると。

高宮 そうです。たえず一作、一作を新しいものを。確かに話しのつながりがあるにしても、匂いとしてつながりがあるにしても、新しいものとして遊んでもらう方が、より楽しく遊べるんじゃないかっていう。

―マイナーチェンジもして、あと大きな変化も加えていきたいと。


寺田 確かに新シリーズになりましたが、決して前シリーズの流れを捨て去ったわけではないんです。魔装機神もぜひ続編を作っていきたいですし、前シリーズの良さを生かした第5次みたいな超大作もやろうかな・・・と考えています。まだ移植していないハードもありますしね。でも、第四次のような作りは限界に来ていることも確かです。今回も容量のことを考えてロボットの数を減らしたわけですし。何にせよ、飽きられるのが一番怖いんですが。

―限界がありますからね。

寺田 限界はありますね。ロボットはいっぱいあるでしょうといわれても、じゃあバラ○ックとかメカン○ーロボとかも、本当は出したんですけど、出して誰が買うんだろうと。今回の実験でわかってますからね。原作を知らないと遊べないんだという公式は今後なくしていきたいんです。

―なるほど。ロボットのエントリーの基準ってのはどうなんですか?

寺田 エントリーの基準は今回は、今までのシリーズの出たことのないロボットで人気が高いものを出してるんです。それでも今回はマイナーすぎるとかなりお叱りをいただいたんで反省しています。次から第四次のようなみなさんが覚えておられるキャスティングにします。まあ、こればかりは人によって意見が違うんで大変なんですが。毎回同じロボットが出てきて飽きられるのもいやですしね・・・。
 仮に次のやつを作ってもオリジナルの話をつくっていかないとだめですよね。果たしてそれがウケルのかウケないのかっていう問題もありますし。だから今後新しいロボットを入れ込むのはかなり困難なことだと思います。全部わりと懐しのロボットは出したと思うんで。

―懐しので、かつメジャーっていうのはね。

寺田 ロボット大戦は誰のものなのかと。マニアだけのものではないようにしていきたいと思うんです。まあ、そう思っていてもマニアックなんですけどね。みなさんのお許しがいただけるのなら、第四次の作りに戻して相当マニアックなロボット大戦を作ってみたいんですよ。イ○オンとかエ○゛ァとか長浜作品勢ぞろいとか、ガンダムチーム新旧勢ぞろいとか。でも、そのために敬遠してしまう人もいるかもしれない。キャスティングは本当に難しいんです。ユーザーに低年齢層の方もかなり増えましたし。

―松本さんは何が好きなんですか?

松本 僕ですか?僕は今回のでしたらレイズナー。

寺田 僕は好きなロボットが変わっちゃいましたね。

―えっ。何がお好きだったんですか。

寺田 ブ○イガーとか・・・。

―渋いですね。

寺田 どマイナー系がむちゃくちゃ好きなんですけど、出せないのが分かってるんで。ジレンマですね(笑。J9シリーズ出したいなあとか。あとダル○二アスとか、ゴッ○マーズとか出しなあとか。

―ゴッド○ーズって意外とメジャーじゃないですかね。

寺田 それをいい出すとキリがないですからねえ。いっそのことこれまで放映された全てのロボット作品をゲームに出すというのがひとつの結論なんでしょうが、さすがに次世代機といえども、それは無理ですね。話しもまとまりがつかなくなりますし。

高宮 今回実験的に失敗したところを上げてみると、最終マップが最初仕掛けていたものとはまったく違うものになっちゃったんで(笑。隠しマップではあるんですけど、消化マップになってしまいましたね。もう少しクセのあるマップになる予定だったんです。苦労してもらうマップでした。だから地上編と宇宙編は易しくても構わなかったんです。地上編と宇宙編は易しかったけど隠しマップは・・・。

―難しいぞと。

高宮 ピリッとくるよ。っていうのが全然ピリッにならなかった(笑。はじめはヘルモーズ面も背景自体をラスボスにっていうのがあったんですよ、マップが攻撃してくるみたいな。

―ユニットのかたまりみたいな状態ですか?

高宮 そうそう。

―なるほど。それは面白そうです。最後に今後の展望を。

寺田 このSRWシリーズは本当に反響が大きいので、みなさんの意見を聞いて未来を切り開いていきたいと考えています。でも前シリーズのファンの方には、それなりの御回答を用意しようと考えていますので、楽しみにしていてください。無論、新シリーズの方も、続編は未定になっていますが、いろいろと新しいことに挑戦していきたいと思っています、ですから温かく見守ってくださいね(笑。あとご意見がありましたら、どんどん寄せてください。なるべくならレポート用紙3枚ぐらいにまとめてくれると嬉しいです。

―みなさん、3枚くらいにしておきましょう。

高宮 課題として私の中で持ってるのは、今までとは別の方向性を見出したいと考えています。例えばCGだとか、エフェクトだとか、イベントだとかそういったものを見せるだけではなくてゲームすることそのものが楽しいっていえるようなものをね。要はひとつのマップをクリアすることが楽しいというものを作れないかな、というのがあるんですよ。

松本 僕は観て燃えて頂きたいですし、ゲームとしてホントに楽しんでいただきたい。終わりはないと僕は思っているんで、どんどん進化できるところまで進化していきたいなと。

―2次のころから成長しているゲームですからね。

高宮 そうですね

松本 ガンダムがアップでバルカンを撃ちながら動くところって見てみたいと思いませんか?

―いいですねえ。ぜひお願いしますよ。

寺田 まあロボットアニメがあるかぎりがんばっていきたいですね。手を変え品を変えてね。

―今日はどうもありがとうございました。