スタッフインタビュー(ファミ通 2010/3/11)

作の開発を手掛ける寺田貴信氏と阪田雅彦氏のインタビューを掲載。開発にまつわる、貴重なお話を伺ったので、じっくりと読んでいただきたい。なお、阪田氏は、初期の「スパロボ」シリーズのディレクターで「魔装機神」の原作者でもあるのだ。古参の「スパロボ」ファンにはなじみが深い、誌面に登場するのは久々となっているぞ。

阪田雅彦(ゲームデザイナー兼シナリオライター):「魔装機神」の原作者で本作のシナリオを手掛ける。誕生日と血液型は、かつて「スパロボ」で特殊誕生日として猛威を奮った9月2日のO型。
寺田貴信(バンプレソフトプロデューサー):「スパロボ」シリーズの開発を統括しているプロデューサー。誕生日と血液型は、阪田氏同様、特殊誕生日となっていた11月11日のB型。

―まず、「魔装機神」の「スパロボ」シリーズにおける位置づけを教えていただけますか?
寺田貴信氏(以下、寺田) 現在マサキやサイバスターが活躍する「スパロボOG」シリーズを展開しておりますが、それらの作品では彼らのバックボーンを掘り下げていないんです。彼らがどのような世界からやってきたのか、その答えとなるのが「魔装機神」なのです。
―本作は「スパロボOG」シリーズを語るうえでは、欠かせないというわけですね。このタイミングでの移植の理由は?
寺田 今後の展開を踏まえたうえで、「魔装機神」をリメイクしなければと以前から考えていました。しかし、やるなら原作者である阪田さんや、オリジナル版の開発元であるウィンキーソフトさんに手掛けていただきたいと思っていたんです。ただ、今年あたりに出せなければ、機を逃してしまうところだったので、じつは少々焦っていました(笑)。
―一部のユーザーからは「『魔装機神』はもう出ないんじゃないか?」という声もありましたが。
寺田 リメイク希望もかなり高かったので、長年の宿題でしたね。また、「スパロボOG」シリーズは、「魔装機神」のリメイクを想定したうえで作っていましたので、いまというタイミングで世に再び出すことができてよかったです。
―阪田さんは久々に「スパロボ」シリーズに携わるわけですが、いまの気持ちをお聞かせください。
阪田雅彦(以下、阪田) うれしい限りですね。「魔装機神」はいまから14年まえの作品なので、懐かしい気持ちもあります。
―若い世代のユーザーには、本作を知らないという人も少なくないかもしれませんね。
阪田 最近のシリーズから「スパロボ」に入った方や、当時遊んでいなかった方にもプレイしていただけるというのはありがたいことですね。14年という歳月が経っていますが、本作のシナリオはいまでもそれなりに通用するものだと自負していますので、皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
―ちなみにニンテンドーDSで出された理由というのは?
寺田 ニンテンドーDSで展開している「スパロボ」シリーズや、2月に発売された「無限のフロンティアEXCEED」をプレイしておられるユーザーさんにも続けて遊んでいただきたいなと思いまして。
―「スパロボOG」シリーズも多様な広がりを見せていますので、このタイミングでの「魔装機神」の登場はうれしいですね。
寺田 今回、「スーパーロボット大戦OGサーガ」というサブタイトルをつけていますが、「魔装機神」はひとつの作品として独立したものでもあります。ですので、マサキやサイバスターを知らない方でも、「スパロボ」シリーズをプレイしたことがない方でも、楽しんでいただけると思います。
―「魔装機神」はシナリオが2部構成で、1部と2部のあいだに「スパロボEX」のシナリオが入りますよね。その部分の補完はどのようにされるのでしょうか?
寺田 そのあたりは別の形で補完するつもりですが、詳細については今後の展開の発表をお待ちいただくということで。
―スーパーファミコン版から、シナリオ面で変更されたところはあるのでしょうか?
寺田 スーパーファミコン版ではなかったイベントを阪田さんが若干追加しています。また「スパロボOG」シリーズと整合性を取るために変更された部分が少しだけありますが、その内容は一部の組織名称が変わったとか、そんな感じですね。
―ベースとなる世界設定や登場人物などに、大きな変更はないと。
阪田 基本的にオリジナル版を尊重して、忠実に作っています。
―システム面やインターフェイスの変更点はあるのでしょうか?
寺田 オリジナル版のテイストを残しつつ、操作まわりを改良しました。本作は独自のシステムを取り入れているので、昨今の「スパロボ」に慣れている人も、新鮮な気持ちで楽しめると思います。
―とくに新規のユーザーさんは、「魔装機神」ならではのシステムに乞うご期待ということですね。
寺田 いい意味でシンプルな「スパロボ」になっていると思いますので、昨今の作品をプレイしていない方、シリーズに初めて触れる方もとっつきやすいと思います。
―システム面でもうひとつお伺いしたい点があります。本作はシナリオの分岐が非常に多かったのですが、セーブデータはいくつくらい作れるのでしょうか?
寺田 本作のシリーズ分岐は、いまもなおシリーズ最強クラスですからね(笑)。分岐の多さも「魔装機神」の魅力のひとつと言えます。スーパーファミコン版ではセーブデータが3つ+ターボファイルでしたが、今回は90個ほど作れます。
―分岐を楽しみたい人も安心と。そのほか、本作の見どころはどういったところでしょうか?
寺田 戦闘シーンをリアル頭身で描いたのは、本作が初めてだったんですよね。今までカットイン演出内で、リアル頭身のサイバスターが出ることはありましたが、登場する機体がマップ画面を含めてすべてリアル頭身で描かれていることも、本作の特徴のひとつです。あと、スーパーファミコン版では不明だった武器の形やギミックなど、今回は阪田さん監修のもとで設定し直しています。戦闘シーンをじっくり見ていただくと、そういったところがおわかりいただけると思います。ちなみにスーパーファミコン版と違って、戦闘シーンをカットすることもできます。
―最後に、読者の皆さまへのメッセージをお願いいたします。
阪田 昔からのファンの方は、新しい要素や戦闘演出の強化などがありますので、楽しみにしていてください。新しいファンの方は、「スパロボOG」シリーズのひとつとして遊んでみてください。
寺田 長年の宿題だった「魔装機神」、今後の展開と合わせて皆さんご期待ください!